こんぶ漁に思う

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浦河の夏の風物詩ともいえるこんぶ漁が始まった。今年は記録的な不漁の予測である。原因はいろいろとあるのだろうが、その一つに昨夏の記録的な高海水温があるともいわれている。

若いころ水産係長をしていた。そのころ全道の漁協婦人部の会長をしていた、井寒台の本田フヨさんとお話しをする機会があった。本田さんは柔和な表情で「池田さん、こんぶはね漁師の貯金みたいなものなの。家にお金がなくとも磯がこんぶで黒くなっていると安心するの」と教えてくれた。

その言葉を胸に、こんぶ資源が豊富になるようにいろいろなことにチャレンジした。効果のほどは不確かだったが、国産の食料を安定して供給するという使命感のようなものがあり、やりがいのある仕事だった。

今一次産業は深刻な後継者難である。その解決策の一つは農林漁業が、稼ぐことができる仕事となるよう魅力を高めること。そして食料自給率を高めるためにも、なによりも生産物の価格だと思う。その結果若い世代が魅力を感じる産業になるのではないか。

「良いものを安く」というスーパーのキャッチコピーがある。しかし、市場原理に任せるだけではなく、フェアトレードの国内版のような仕組み作りも必要ではないか。ときおり目にする一次産品の値崩れや廃棄のニュースを見てその思いを強くしている。

こんぶ漁がなによりも安全操業で、事前の予想に反して豊漁となることを祈っている。

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