高齢者の権利擁護
高齢者虐待とは?
自分の人生を自分で決め、周囲からその意思を尊重されること、つまり人生を尊厳をもって過ごすということは、介護の必要の有無に関わらず誰もが望むことです。しかし現実には、家族や親族などが高齢者の人権を侵害する『高齢者虐待』が問題となっています。高齢者の中には、辛くても不満があっても、声を出せない人がいます。あなたの身近にも、そんな人はいませんか?
高齢者(65歳以上の人)への虐待には、さまざまな行為があります。『高齢者虐待防止法(高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律)』では、家族など養護者(介護者)または要介護施設従事者などによる次のような行為を『高齢者虐待』と定義しています。
経済的虐待
- 日常生活に必要な金銭を渡さない、使わせない
- 本人の自宅等を本人に無断で売却する
- 年金や貯金を本人の意思・利益に反して使用する
- 高齢者の預貯金を子どもが預かるというケースもあります。
時が経つにつれ、そのお金がまるで自分のもののように感じるようになり、生活苦やストレスを発散したいという想いから、ちょっとだけ使ってしまおうという気にもなってしまうかもしれません。しかし、高齢者自身がそれを了承しておらず、高齢者自身が希望する金銭の使用を制限してしまっていれば、これは「経済的虐待」に該当します。
身体的虐待
- 平手打ちをする、つねる、なぐる、ける、むりやり食事を口に入れる、やけど・打撲させる
- ベッドに縛りつけたり、意図的に薬を過剰に服用させたりして、身体拘束、抑制する など
心理的虐待
- 排泄の失敗を嘲笑したり、それを人前で話すなどにより高齢者に恥をかかせる
- 高齢者が話しかけているのを意図的に無視する
- 怒鳴る、ののしる、悪口を言う
- 屈辱を込めて、子どものように扱う など
介護・世話の放棄、放任
- 入浴させておらず異臭がする、髪が伸び放題だったり、皮膚が汚れている
- 水分や食事を十分に与えられていないことで、空腹状態が長時間にわたって続いたり、脱水症状や栄養失調の状態にある
- 室内にごみを放置するなど、劣悪な住環境の中で生活させる など
性的虐待
- 排泄の失敗に対して懲罰的に下半身を裸にして放置する
- キス、性器への接触、わいせつな行為の強要 など
自覚がないままに虐待をしてしまうことも
虐待をしてしまっている当事者は、自分が虐待をしているという自覚がないことが多いものです。また、「高齢者のために」と思ってやっていることが、虐待につながっていることもあります。
◎ 言ったようにできないので、つい手が出たり、怒鳴ったりしてしまう。
◎ 良いことと悪いことを分かってもらうために、叩いたりしている
◎ 高齢者が話しかけても、無視してしまう。
◎ 認知症により徘徊するので、部屋から出さないようにしている。
◎ 経済的に苦しいので、病院へ連れて行くことを制限している。
『虐待かも?』と思ったら
高齢者虐待は、早い時期に第三者が介入するなどして、虐待の悪循環を止めることが大切です。地域や介護保険施設などで虐待を受けている高齢者を発見したり「虐待かもしれない」と思った場合は、浦河町地域包括支援センターに相談・連絡してください。虐待を受けている高齢者本人が相談することもできます。秘密は守られますのでご安心ください。
※「高齢者虐待法」により、高齢者虐待の発見をしたときは市町村へ通報することが求められています。
通報を受けたら、このような対応をします
家庭で虐待があった場合
市町村もしくは地域包括支援センターが確認を行い、必要な場合は高齢者を保護します。また、相談支援や介護保険サービスの提供により、養護者の負担軽減をはかります。
施設などで虐待があった場合
市町村や道が法の規定による監督権限を使って、業務や適切な運営を確保することなどにより、高齢者の虐待防止や保護を図ります。
介護の負担を抱え込んでいませんか?
高齢者の介護は考える以上にたいへんです。例えば認知症の高齢者の場合はなかなか思いが伝わらず、一生懸命に取り組むあまり、大声をあげてしまうことも少なくありません。そして、養護者自身が心身ともに疲れきり、追いつめられることで、虐待が発生してしまうこともあります。
介護は長期にわたるため、家族だけでがんばっても限界があります。無理をせず、さまざまなサービスや制度を利用して、養護者の負担を軽減するようにしましょう。
- お問い合わせ先
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地域包括支援センター
電話番号:0146-22-7733
FAX番号:0146-22-7734
メール:houkatsu@town.urakawa.hokkaido.jp
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